AIエージェントでの開発は、そこそこつらいよ?
自分だけがボトルネックになる開発
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AIエージェントを活用した開発が急速に広まっています。コードを書く、テストする、バグを直す――そういった作業をAIが驚くほどの速さでこなしてくれる時代が来ました。ありがたいことだと思います。でも同時に、「自分がボトルネックになっている」という感覚に押しつぶされそうになることが、どんどん増えてきているらしい。
AIの仕事量は確かに膨大でノンストップです。適切な指示の下で生成される成果物は確かに役に立ちます。ただ適切な指示のための下準備、というか助走期間(当然これもエージェントに走ってもらうわけですが)もなかなか一筋縄ではいかず、AIに分かってもらうための資料作成をし、やっと実装に入ります。それでもエージェントの権限問い合わせは止まらないので、布団でスマホの通知がわかるようにしながら寝ている毎日です。作業が早いのはいいですが、そのためにはこっちも指示や承認し続けないと作業が進まないのです。
さらに困るのが、ハルシネーション――AIが「それっぽいけれど間違っている」コードを生成してしまうことです。コンパイルは通って見かけ上の仕様は満たされているけど、結果が出ない。すべて正常なのに、何も結果が返ってこない。そういったミスに気づくためには、やはり自身のドメイン知識が絶対に必要です。やっぱり自分がわかっていないものは作れない、作らせられない、コミットできない。経験が浅いジャンルほど見逃しやすいという、少し皮肉な状況もあります。(良く言えば学習の敷居が下がってる、ともいうけど。)
個人開発者にとってのAI活用は、「超高速で流れるベルトコンベアと一緒に走って、一人で検品と機械のメンテナンスし続ける」ような無理ゲーな体験だと感じています。AIは(課金し続ける限り)疲れません。でも、人間は疲れます。このずっとせかされている感こそが、今の私たちの一番の悩みになっているのではないでしょうか。
一方、チームでの開発では、チームなりの難しさがあります。メンバーが増えれば、こまめな「報告・連絡・相談」も、(わかっちゃいるけど)ストレスです。個々のスキルのギャップや職種のギャップ、業務知識に関するギャップ、チーム間のコミュニケーションや進捗のギャップ、実装すべきタスクとメンバーのスキル、予算、この枠内での品質管理ポリシー、ドキュメント作成、ありとあらゆるところで「調整」が必要です。
さらにはエンドユーザー社内の派閥争いに巻き込まれる、というかユーザー様の社内の部署の壁があって意味不明の「俺聞いてない」問題が勃発したり、こっちの部で受注すると取締役会で蹴られるあっちの部で決済したことにしてもらって…なんて意味不明の根回しが必要だったり。こんなものはもはや「調整不能」です。業務に問題があるなら書類作って指摘できるけど、取締役間の人間関係は指摘してもどうしようもない。どちらにも問題がある場合もあるし、どちらにも「正義」がある場合もある。
開発とは「変えていく仕事」であります。事業であったり、業務であったり、誰かののタスクであったり。それを、変えなければいけない。いつでも変わっていかないといけないけど、それが他人に強制されるのは誰だって抵抗があります。
開発の中でどんな立場にいてもなにか、自分の中で無理にでもモチベーションがあがる何かを探し、マインドを無理にでもキープしていないといけない。なかなかつらい状況がどの現場に行ってもあります。
正直に言うと、私はこの「誰かと調整し続けること」に燃え尽きてしまったと思っています。
チームで働いていたとき、一番消耗したのはコードでも締め切りでもありませんでした。あらゆる情報のギャップから生まれる不信感、徒労感に、じわじわと疲れていったように思います。技術的な問題は原因を特定すれば解決できますが、情報ギャップの問題は解決できるものもあれば、手の届かないものもあります。
そもそも管理職は誰しもそうかと思いますが、「他人をコントロールしようとする行為そのものが、自分を消耗させる」ということです。相手を動かそうとして、思い通りにいかないと苛立って、事情を汲み取ろうとしてさらに疲れて、それでも結果が出なければ自分の責任になる。管理職はそんなもんです。
AIエージェントを使った個人開発では、確かに自分がボトルネックになります。でもそれは、「自分でコントロールできる」ボトルネックです。いつでも休んでいいんです。ペースを落とせます。承認を待たなくていいし、意思決定を誰かに説明しなくていい。失敗しても、その責任は自分だけに帰属します。これが、私が個人開発を選んだ本当の理由です。もう「他人との調整疲れから、さっさと逃げ出したかった」というのが正直なところです。
どちらが「正しい」かではなく、どちらが「自分に合っているか」
ある程度以上の規模のチームでないと作れないものがあるのは、確かにそうです。現時点のLLMモデル・AIエージェントのコンテキスト長では、まだまだ一般の「業務システム」と呼ばれるものを作るのは極めて困難です。ただ、そういう現場で、自分が何に消耗するのかを正確に知っておくことは、とても大切なことだと感じています。
AIエージェントの登場によって、「一人でも、ある程度の規模のものが作れる」ようになりました。人との調整コストを最小化して、自分のリズムで、自分の責任の範囲でものを作れる――そういう選択肢が、現実的になってきた時代だと思います。
AIの稼働時間に自分が付き合いつづけるの、正直、しんどいです。でも、顔の見えない誰かとの情報ギャップに消耗し続けるよりは、ずっと自分らしくいられる。少なくとも、私にとってはそうでした。
ここまでお読みいただき誠にありがとうございました。
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