Codex や Claude Code のようなコーディングエージェントを使っていると、妙に人間臭い挙動に出会うことがある。
大きめの機能を直接実装させようとすると、確認が増える。影響範囲を気にし、作業範囲を切り分け、実装前に計画を立てようとする。既存コードを壊さないためには当然の振る舞いだが、使う側から見ると、少し腰が重く見える。
散々行ったり来たりの問答の末、割といい感じの設計書ができたと思ったら、そろそろコンテキスト不足だから次のセッションがおすすめです、とか、会話をコンパクトにしますか?など作業の先延ばしとしか思えない提案をしてくる。個人的には「イヤイヤ期」が来たと思って、はいはいそうですねーと引き継ぎ資料などを作らせ別のセッションを始めるなどしていた。
ところが、同じ作業でも「別の Codex に実装を依頼して、あなたはそれを管理・監督してください」と指示すると、急に動きがよくなる。作業を分解し、担当を切り出し、レビューし、次の指示を出す。直接やるときより、管理者の立場に置いたときのほうが、なぜか前向きに見える。急にスピーディな対応をしてくださる。とてもありがたいのだが。
なんだか、人間の組織を見ているようで面白い。
経営層や管理職は改革に前のめりで、現場は変化に慎重になる。上のレイヤーから見ると、改革は合理的に見える。無駄をなくし、業務を標準化し、新しいシステムを導入する。常に問題意識があるのはいいが、常に変革を求めている。当然、全体最適を指向している。
しかし、現場から見ると話は違う。そこには最適化された手順があり、例外処理があり、過去の経緯があり、暗黙知があり、壊すと困る依存関係がある。現場にとっての局所最適は、「今動いている業務をより効率化すること、作業の時間を最短に、効果を最大化すること」である。上から見た全体最適は、現場にとっては、自分たちの最適化をゼロクリアする現場の破壊として現れることがある。
だから現場は抵抗する。あるいは、抵抗しているように見える。




